
PEK2025のキーノートスピーカー、Nicki Wattさんってどんな人?
はじめに
Platform Engineering Kaigi 2025(PEK2025)のキーノートスピーカーとして、Trifork UKでCTO兼Business Unit Leadを務めるNicki Wattさんをお迎えすることになりました!
セッションタイトルは「Engineering Tomorrow’s Platforms: Staying Relevant in the Age of AI」。生成AIが急速に進化する現代、ソフトウェアエンジニアリングの未来やプラットフォームが持つべき価値とは何か。セッション概要を読むだけで、私たちの未来に深く関わるテーマであることが伝わり、期待が高まります。
参加者の中には、「Nickiさんの名前を初めて聞いた」という方や、「名前は知っているけれど、どんな方なんだろう?」と気になっている方もいるかもしれません。
そこで今回は、PEK2025実行委員である私(Azuma)が、Nickiさんのキャリアや人物像をリサーチし、当日のキーノートを最大限楽しむためのポイントをQ&A形式で分かりやすくご紹介します。
キーノートは60分間で、最後の15分間はQ&Aタイムを予定しています。当日はSlidoを利用し、同時通訳も入るため日本語での質問も大歓迎です。Nickiさんに直接質問できる貴重な機会なので、ぜひこのブログを参考に、聞いてみたいことを考えてみてください!
Nickiさんはどんなキャリアを歩まれてきたの?
Nickiさんは現在、Trifork UKでCTO兼Business Unit Leadを務めています。
Nickiさんのキャリアはソフトウェアエンジニアから始まり、システムアーキテクト、コンサルタント、CTO、そしてCEOまで、テクノロジーとビジネスの両面で非常に幅広い経験を積まれています。
特筆すべきは、NickiさんがOpenCredoというテクノロジーコンサルティング企業のCTO/CEOを務めていた点です。OpenCredoは後にTriforkグループの一員となり、2025年5月にTrifork UKへと移行しました。現在は、OpenCredoが持つデータやクラウド、Platform Engineeringに関する専門知識を活かし、Trifork UKでCTOとしてリーダーシップを発揮されています。
一方で、Nickiさんの自己紹介にしばしば見られる「a techie at heart」(根っからの技術好き)という言葉通り、技術への情熱も非常に高いことが伺えます。過去の登壇では自社を「データエンジニアリング、ML、クラウドネイティブソリューションを専門とする実践的かつハンズオン型のソフトウェアコンサルティング企業」と紹介しており、これらの分野にも深い知見をお持ちであることが分かります。
テクノロジーからビジネスまで多角的な視点を持つNickiさんだからこそ語れる「AI時代の未来のプラットフォーム」は、私たちに多くの示唆を与えてくれるはずです。
これまでにどんなカンファレンスで登壇されてきたの?
Nickiさんは、PlatformCon、GOTO Conference、KubeCon + CloudNativeCon、QConなど、世界的に著名な技術カンファレンスに数多く登壇されています。
特に、Platform Engineeringに関する世界最大級のカンファレンスでPlatformConでは、2022年の初回から4年連続で登壇しており、「Legendary speakers」の一人として紹介されるほどの中心人物です。
Nickiさんがこれまでのセッションでどのようなメッセージを伝えてきたのか、動画で少し覗いてみましょう。ここでは、直近のPlatformConの2つのセッションを、感想を交えてご紹介します。
PlatformCon 2025: Putting your platform on a diet: Evolving your TVP
このセッションでは、プラットフォームが時間と共に「肥大化」していく問題に焦点を当てています。機能を追加するだけでなく、意図的に「ダイエット」させる(不要な機能を廃止・非推奨にする)ことの重要性を解説しています。多くの組織が直面する課題に対し、具体的な兆候や対処法を提示している点で、非常に実践的で説得力があると感じました。
PlatformCon 2024: Maturing your platform engineering initiative
こちらのセッションでは、CNCFが提唱するプラットフォームエンジニアリングの成熟度モデルをベースに、プラットフォームの現状を評価し、次のステップへ進化させるための具体的なアプローチを紹介しています。投資、導入、インターフェース、運用、計測といった観点から、自社のプラットフォームの立ち位置を客観視できるフレームワークは非常に興味深いです。また、「全ての観点で最高レベルを目指す必要はない」というNickiさんのメッセージは、現実の制約と向き合う多くのエンジニアにとって参考になる視点だと感じました。
執筆活動や技術記事の発信はしていらっしゃるの?
はい、Nickiさんはスピーカーとしてだけでなく、執筆者としても積極的に知識を共有されています。
Nickiさんはグラフデータベースに関する書籍『Neo4j in Action』の共著者の一人です。Neo4j はグラフ構造を活用したデータベースで、近年はベクトル検索や生成AIとの連携でも注目を集めています。もしかしたら今回のキーノートでも、グラフデータベースの専門家としての知見がAIの文脈で語られるかもしれません。
また、所属するTriforkや以前のOpenCredoの公式ブログなどで技術記事を継続的に発信しており、Nickiさんのメッセージが具体的な技術に裏打ちされていることがよく分かります。
Platform Engineering: From Farm to Fork - A Comprehensive Guide - Trifork
プロポーザルから読み取れる期待ポイントは?
今回のキーノートのプロポーザルから、特に注目したいポイントを3つ紹介しみます。
1. AI時代における「エンジニアの未来」という核心に迫る
セッション概要にある「ソフトウェアエンジニアリングの未来に関する存在論的な問い」という言葉が印象的です。単なるAIの活用法に留まらず、プロポーザルの最後で「エンジニアを置き換えるのではなく、力を与え続けるプラットフォームをいかにして構築できるか?」と問いかけているように、私たちのキャリアの核心に触れる議論が期待できます。
2. 「時代を超えて価値を生む」プラットフォームの本質を学ぶ
変化の激しい時代だからこそ、「時の試練に耐える(stands the test of time)」プラットフォームの本質が問われます。開発者体験、保守性、スケーラビリティといった具体的な観点から、価値を提供し続けるプラットフォームを設計・運用していくための実践的な知見が共有されるでしょう。
3. 「実世界の経験」に裏打ちされたリアルな教訓
プロポーザルで強調されているのが「実世界の経験と学んだ教訓」です。Nickiさんが多様なプロジェクトを率いる中で得たリアルな教訓から、成功例だけでなく、そこに至る過程も含めて多くのことを学べるはずです。
なぜPEK2025のキーノートにNickiさんをお迎えしたの?
私たちPEK2025実行委員会がNickiさんをキーノートスピーカーとしてお迎えしたかった理由は、大きく3つあります。
1. グローバルな第一人者であること
Nickiさんは、世界のPlatform Engineeringコミュニティを牽引するリーダーの一人です。その知見を日本のコミュニティに共有していただけることは、非常に貴重な機会だと考えました。
2. 技術とビジネスを繋ぐ視点
エンジニアとしての深い技術的知見と、CTO/CEOとしてのビジネス視点を兼ね備えています。そのバランスの取れた視点は、多くの参加者にとって有益なものになると考えました。
3. 未来を見据えたテーマ
「プラットフォーム × AI」というセッションテーマは、PEK2025が掲げるテーマ『BEYOND BOUNDARIES』の「既成概念の壁を越える」という方向性とも合致しています。この未来を見据えたテーマについて、Nickiさんの知見を共有していただくことは非常に意義深いと考えています。
まとめ
このブログを読んで、Nickiさんに聞いてみたいこと、議論してみたいテーマが思い浮かんだ方も多いのではないでしょうか?
Nicki Wattさんのキーノートは私たちの未来に深く関わるテーマであり、日々の業務に新たな視点をもたらしてくれる、またとない機会です。
ぜひPEK2025のキーノートセッションに参加して、たくさんの質問をぶつけてみてください。皆さんと会場でお会いできるのを心から楽しみにしています!