
Platform Engineering Meetup レポート:ガバナンスとIDPをめぐる実践(第14回)
はじめに
Platform Engineering Kaigi 2025 を直前に控え、Platform Engineering Meetup (第14回)を開催しました。 今回は「ガバナンス」と「IDP(Internal Developer Portal/Platform)」をテーマに、3つのセッションで実践知と学びを共有しました。本記事では各セッションの要点と、登壇資料へのリンクをまとめます。
セッション1:下手な強制、ダメ!絶対! — 「ガードレール」を「檻」にさせないガバナンスの取り方とは?
- スピーカー:_・)つかまん さん
- 資料
下手な強制は開発者の意欲を削ぐ——という前提に立ち、プラットフォームエンジニアリングの真の目的を「認知負荷の削減」と「価値創造への集中」に据え直すセッション。ガードレールを“檻”にしないためのさじ加減を、Paved Path と Railway の使い分け、制約の価値と理由の伝え方、利便性と安全性の両立、そして“説得ではなく納得”を生む対話や透明なロードマップ/フィードバック運用まで含めて具体化します。
見どころ
- 真の目的:認知負荷の削減 → 開発者が本来業務に集中
- Paved Path/Railway と Guardrails/檻のさじ加減(価値と理由の共有)
- 説得ではなく“納得”を生む対話と、利便性×安全性のバランス
- KPIだけでなく“愛されているか”で測る、信頼を損なわない運用
セッション2:開発者を支える Internal Developer Portal のイマとコレカラ
- スピーカー:木村健人(AoTo)さん
- 資料
増え続ける“コード外の仕事”を前に、IDPを「作る」から「使う価値」へ。単一のインターフェースと有用な抽象化で開発者を支える設計原則を整理しつつ、いま、自前かSaaSか、クラウド統合をどう捉えるかの実践的な判断軸を提示します。
見どころ
- 単一インターフェース/拡張性と構成管理/ガードレール×柔軟性の“三本柱”をプロセスに落とす視点
- BackstageなどOSS、自社実装、クラウド統合、Observability内蔵型Portalのリアルな比較観点
- 普及を阻む「専任不在・統合不足・ナレッジ陳腐化」を越える最初の打ち手
- あえて“作らない”を選べる意思決定フレーム(費用対効果と運用負債)
セッション3:Platform開発が先行するPlatform Engineeringの違和感
- スピーカー:島村純平 / 杉山哲也 さん
- 資料
「Backstageを導入しました」の先に何が残る?——手段先行にブレーキをかけ、TPS(トヨタ生産方式)の視点で“業務フロー設計”へと軸足を移す提言。利用率30%の現実を解剖し、社内“顧客”に伴走するCSEアプローチと、OKR×メトリクスで回す改善ループを具体で示します。
見どころ
- KPIが立たない「利用率30%」のなぜ(仮説と事実の分解)
- CSE的伴走の型(誰に・何を・どう届ける)とOKRの設定例
- “顧客の言葉”で語り直す価値仮説→改善アクション→再計測の実際
- 経営/事業/開発者/プラットフォームの4象限で整合を取る方法
まとめ
今回のMeetupは、プラットフォームエンジニアリングの“本質に立ち返る”ための視点が随所に詰まった回になりました。ガバナンスは“檻”ではなく“安心して走れる道づくり”。IDPは“作ること”ではなく“使われる価値”。そして、手段に先行されないよう、課題と効果をデータで語る。登壇者・参加者のみなさま、ありがとうございました!
Platform Engineering Kaigi 2025 のご案内(9/18 Thu)
いよいよ Platform Engineering Kaigi 2025 が開催されます。テーマは「Beyond Boundaries」。技術・組織・ビジネスの境界を越えて、実践と成果を結び直す1日です。
- 日時:2025年9月18日(木)
- 会場:中野セントラルパークカンファレンス(現地・オンライン)
- 公式ページ: https://www.cnia.io/pek2025
ぜひご参加ください!
※ オンライン参加の場合も申込みが必要です